西院西今田町の共同住宅
Apartment Building in Saiin Nishiimada-cho
京都には、グリッド状の街割りやその街区寸法に起因して多くの路地が存在する。
現在それらの路地は京都の都市イメージと強く結びついているだけでなく、地域のコミュニティの場やセキュリティゾーンなどセミパブリックな空間として有効に機能している。
またグリッド状の街路に対するインフラとしての路地の存在は、その対比によって都市における住み方にある種の豊かさを与えているようにも思う。
しかし、近年そうした路地空間はマンションやホテルといった地域性の希薄な建築に急速に取って代わられてきている。
これは、路地沿いの建物の老朽化に加え法的制限、経済原理といった要因による不可逆現象である。
ここでは、一般的に5階建のマンションであれば設置されるであろうエレベーターを敢えて排除し、街路からつながる共用部を立体的な路地のように構築することで、街と住戸との間に京都らしい距離感を生み出すことを考えた。
2つのボリュームに挟まれた幅3m弱の吹抜空間を共用部とし、RCの柱、梁、階段など建築を構成するプリミティブな要素を露わにし、そこに生活のための配管やキャットウォークなどを対比的にめぐらせた。
力強い建築の構造体がつくりだす空間 に人が生活するためのインフラが纏わりつく様は、抽象的な京都のグリッドシステムに人の生活を支える路地が寄 生する様と呼応し入子状に展開し、京都における現代の都市居住に更なる奥行きを与えてくれるのではないかと考えた。
住宅(新築)
所在地:京都市右京区
構造:RC造5F
延床面積:717.20㎡
期間:2018.6~2020.2
撮影:笹倉 洋平、池井 健
掲載誌:建築と社会 2020.5